2017年2月24日金曜日

亡くなった我が子を抱きしめる… 後悔しないためにできること (1/5) 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版

亡くなった我が子を抱きしめる… 後悔しないためにできること (1/5) 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版:

 今回のは重い話題ですが、生まれてすぐ亡くなってしまった赤ちゃんの「グリーフケア」に関する深澤友紀氏の記事を考えてみたいと思います。自分も2人の子供を持つ親で、幸いにも2人とも元気に生まれてきてくれたのですが、世の中には望んでも赤ちゃんが授からないご夫婦も、そして大切に大切にお腹の中で10ヶ月強育ててきた赤ちゃんを死産や重い病気ですぐに亡くしてしまう方もいらっしゃいます。子供を失うという悲しみはいかばかりかと想像すると、胸があまりにも痛くなり、深澤氏の元記事を涙なしでは読むことができませんでした。

 2004年神奈川県立こども医療センターで、長女・ヒカルちゃんを出産した横浜市の古田ご夫妻。主治医の川滝元良医師は、NICU(新生児集中治療室)に併設する個室で過ごす時間を設けてくれたのだそうです。ご両親が代わる代わる愛する娘を抱き、微笑みかけ、家族一緒の温かい時間を過ごしていく。部屋に入ってきた川滝医師は、窓のカーテンを開けたのだそうです。ヒカルちゃんは生後14時間で亡くなりましたが、古田ご夫妻は川滝医師のこの謎の行動の理由を後で知ったのだそうです。

 実は、古田ご夫妻が16年12月に自費出版した「はるかな空」に書いたこのエピソードを読んで、横浜市の竹縄晴美さんは01年に亡くなった娘の美衣ちゃんが川滝医師の中で生き続けていることを感じて涙があふれたのだそうです。美衣ちゃんが亡くなる少し前、竹縄さんは当時主治医の川滝医師に、カーテンを開けて美衣ちゃんに空を見せてあげたいとお願いしたのだそうです。川滝医師は、ベッドを窓際に移動してカーテンを全開に。青い空と白い入道雲が広がる夏の空を見せてあげることができたのだそうです。竹縄さんは「あのとき空を見せてあげられなかったら後悔しかなかった。今も川滝先生のおかげで、美衣が生まれてきてくれてよかった、と思えるんです」とその時のことを振り返ります。

 川滝医師は、竹縄さんご夫妻の愛娘・美衣ちゃんを天国に送るまでの時間の過ごし方で経験したことを、古田ご夫妻の愛娘・ヒカルちゃんの時にも活かしたのです。川滝医師は言います。「人の命は長さじゃない。密度です」「患者さんに教わったことを次につなげようと思ってやってきました。短くても、生まれてこられなくても、無駄な命だったとは思ってほしくない。治らない患者さんにこそ、向き合いたい」と。

 赤ちゃんの死に直面する親は、悲しみに打ちひしがれ途方に暮れてしまいます。しかし少しでも赤ちゃんと一緒に過ごせる時間があるなら、それを大切に過ごして欲しい。死産や新生児死を経験した家族の「グリーフケア」を研究する聖路加国際大学の蛭田明子助教授はこう述べておられます。「亡くなった赤ちゃんとふれあい、赤ちゃんのために今できることをする。このことが、子どもの存在を確かなものとし、後々両親が亡くなった赤ちゃんとのつながり、絆を感じるうえで心の支えとなることがあります」 我が子の死を前にして、限られた時間で何ができるのかなんて考える余裕がない親にとって、そばにいる医療者の果たす役割は計り知れません。

 従来は、「思いが残るから」といった理由で母親を赤ちゃんに会わせないことが一般的でした。しかし最近では、親がしっかり次の一歩を踏み出せるために、亡くなった我が子を抱っこしたり、写真を撮ったりするということもあるのだそうです。「グリーフケア」と呼ばれます。

 神奈川県の森本ご夫妻は、10年に同センターで長男の和也くんを出産しましたが、重い病気のため、生まれた和也くんは翌日息を引き取ります。亡くなった子はすぐに火葬されるのかと思いきや、他の赤ちゃんと同じように母子同室で過ごし、病室へ来る看護師や助産師が「かわいいね」「抱っこしてもいい?」と声をかけてくれたのだそうです。森本さんは、看護師さんたち和也くんが亡くなったことを知らないのだろうかとさえ思ったのだそうです。森山さんは当時のことをこう振り返ります。「入院中にスタッフの方々のケアのおかげで和くんをきちんと天国に送ることができたからこそ、私は前を向けるようになったんだ」と。

 赤ちゃんを亡くしたご両親に、周囲は「まだ若いんだから次があるよ」「泣いてばかりいたら天国の赤ちゃんが悲しむよ」などと言って励まします。しかしはっきり言って、これは逆効果だと思います。愛する息子が・娘が、まるでこの世にいなかったかのように扱われることこそ、ご両親を最も傷つけると思うんです。ご両親にとって、この子はこの子だけしかいない唯一無二の存在です。たとえ死産だったとしても、愛する息子・娘との密度の濃い時間を過ごして、子どもがこの世に生きた証をしっかり残す、しかる後に天国に送り出してあげる。この最初の段階を飛ばしてしまうと、ご両親は前を向くことはできないのです。お子さんを亡くしたご両親にとって最も大切なのは、「愛する息子・娘がこの世に生きた証」なんだと強く感じるのです。

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