2017年2月23日木曜日

予備校の「裏メニュー」にすがる悲しい大学:日経ビジネスオンライン

予備校の「裏メニュー」にすがる悲しい大学:日経ビジネスオンライン:

 少子化とともに大学の弱体化が言われていますが、今回はそんな話題を松浦龍夫氏の記事を元に考えてみたいと思います。「弱体化」と一口に言ってもさまざまなレベルを想像できますが、何と入学試験問題を自力で作れない、授業も外部委託に頼るしかない、そんな大学も増えてきているというのですから驚きです。

 元記事の中である有名予備校の担当者の話として、入学試験問題の作成を請け負って欲しいという依頼は「うんざりするほど」来るのだそうです。この予備校は問題漏えいのリスクの大きさ、特にその予備校に通う受験生への漏えいが疑われる可能性があることを考え、入試問題の作成依頼は受けないのだそうです。それでも大学での授業代行サービスは提供していますし、他の大手予備校の中には実際に入試問題作成を請け負っているところもあるそうで、予備校がアウトソーシング先として多くの大学を支えているのが実情なのです。

 以前に東大の入試問題は、社会に対する強烈なメッセージが込められているということを書いたことがありますが、東大に限らず入試問題というのはその大学にどんな人材を迎え入れるのかを決める「魂」であるはずです。そんな自らのアイデンティティに「魂」を込める作業を外部委託に頼っているのが現状というのですから、最高学府も堕ちたものと言われても仕方ないかもしれません。文部科学省も「問題作成を外部委託している大学があるのは承知している」(高等教育企画課)と回答していますが、大学内で作成するよう指導することもなく黙認状態です。もちろん大学側にもそうせざるを得ない事情があって、ある私立大学の入試責任者は「大学にカネがないことが根本的な原因だ」と話しています。

 少子化によって子供が減っている一方で大学は増える続けており、少ない子供達を取り合う状況が大学の経営を極めて厳しくしています。さらに国からの補助金も減っているので、退職する教授が出ても新たな教員は補充できず、大学は教員数を削減してコスト削減する方向にあります。そして、入試問題を作る技量のある人材が大学からほとんどいなくなってしまったのです。その一方で、大学は推薦やAO入試など多様な入学方式を作ったがために、作らなければならない試験の種類も数倍に膨れ上がっていて、自分で自分の首を絞めているのです。問題を作れる人材がいないんだったら、入試の種類を減らして作らなければならない問題の種類を減らさなければならない...誰もがそう考えますよね。でも、大学にはそれもできない事情があるのです。大学が受験生を取り合うという構図のために、一般入試前に一定数を合格させて「基礎票」を固めるなど、できるだけ4年間の収入を確保しなければならないのです。さらに何種類もの入試を行うことで得られる「受験料」も大学の貴重な収入源なのです。大学としては収入を確保したり増やすことを考えると入試の種類を増やさなければならない、しかし多くの種類の入試を作る技量はない、という自縄自縛の状態に陥ってしまっているのです。

 入試だけではありません。大学の本質であるはずの授業も、予備校に外部委託する例が増えています。先の有名予備校担当者も授業の業務委託は認めており、むしろ授業の方が情報漏洩などのリスクがないだけ堂々とアウトソーシング・外部委託がなされています。入試問題作成・授業に引き続いて、最近では大学としてのあり方のコンサルティングすら外部に頼るケースがあるのだそうです。教育産業の大手が、学部のプログラム内容や留学先の選定などで全面的に協力するという例もあるのだとか。そうなるともう、大学は何をやっているのかという話になると思います。大学に残された業務は大学卒業という証明書を発行するだけなんてことだったとしたら、そこへ通っている学生も親御さんも笑っていられないですよね。

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