2017年2月27日月曜日

「七つの地球」大発見に隠されたNASAの思惑

「七つの地球」大発見に隠されたNASAの思惑:

 先週2月22日、NASA(アメリカ航空宇宙局)からロマンあふれる発表がありました。なんと地球に似た、将来的に人類が移住できるかもしれない可能性を秘めた惑星を一気に7つも発見したというのです。今回はそんな宇宙への憧れを一気に掻き立ててくれた話題を、会津大准教授で「月探査情報ステーション」編集長の寺薗淳也氏の記事を元に考えて見たいと思います。

 子供の頃「水金地火木土天冥海」なんて太陽系の惑星を覚えたものでしたが、太陽系でない(つまり太陽以外の恒星の周囲を回っている)惑星を太陽系外惑星(系外惑星)と言います。従来もNASAから系外惑星の発表はありましたが、今回の一気に7つというのは大きなインパクトのある発表でした。今回の衝撃的な発表は、「赤色矮星(せきしょくわいせい)」「ハビタブルゾーン」「地球型惑星」という3つのキーワードで理解できます。

 まず最初の「赤色矮星」ですが、実は自分はこの言葉をあまり聞いたことがありませんでした。似た言葉に「白色矮星」というのがあります。白色矮星は恒星が死を迎える直前に白く明るく輝く状態で、夜空にひときわ明るく輝くシリウスBなどが有名です。星が死の直前に迎える形態は、他に中性子星やブラックホールがあり、その星が将来的に白色矮星になるのか、中性子星になるか、ブラックホールになるのかは、星の重さで決まると言われています。さて、今回出てきた「赤色矮星」ですが、一般的に「矮星」というのは小さい星ということで、主系列星の中で赤く小さくて発するエネルギーも小さく、そのぶん長寿命な恒星です。今回の発見の舞台となった赤色矮星は「トラピスト1」という恒星で、地球から39光年しか離れていません。39光年『しか』と書きましたが、39光年=369,000,000,000,000kmと我々にとってはとんでもない距離ではありますが、宇宙的なスケールではお隣の恒星と言えるほどご近所なのです。そして、中心星の質量は太陽のわずか0.08倍、サイズ的には木星より少し大きいくらいで「極めて小さい」という表現がぴったりです。実は赤色矮星というのは、小さくて放出するエネルギーが小さいので極めて見つけにくいのですが、その分数も多くありふれた星なんだそうです。

 2つ目のキーワード「ハビタブルゾーン」というのは、宇宙の中で生命が誕生するのに適した環境のことです。生命にとって最も重要なのは水、それも液体の水です。しかし例えば太陽系の中でも地球は液体の水が存在するハビタブルゾーンにありますが、ちょっと太陽に少し近い金星は温度が高すぎて水は蒸発してしまい、ちょっと遠い火星はかつては液体の水があった可能性が高いと言われていますが、今は温度が低くて水は氷としてしか存在できません。つまり、太陽系でハビタブルゾーンに属するのは、地球だけなのです。今回の「トラピスト1」の惑星は、7つのうちなんと3つがハビタブルゾーンにあって、生命が存在する可能性を期待させます。

 そして3つ目のキーワード「地球型惑星」とはどういうことでしょう。惑星は大きくわけて地球型と木製型に分けることができます。地球型は固体(岩石や金属)でできている小さな惑星で、木星型はガス(中心部は固体の場合も多い)でできている大きな惑星です。やっぱり生命の存在が期待できるのは、表面が個体でできた地球型の惑星で、今回専門家を驚かしているのは、地球型惑星が同時に7つも見つかったことなのです。

 今回見つかった惑星は、b, c, d, e, f, g, hと名前がついていて、だいたい地球の0.4~1.4倍くらいの質量で全て岩石質とわかりました。ハビタブルゾーンに属するのはe, f, gの3つで、ハビタブルゾーンに属する3つの惑星(e、f、g)については、中心の恒星「トラピスト1」からの距離はe, f, gとも太陽・地球間の0.03〜0.05倍と、とんでもなく恒星の近くを公転している(↓)ので、公転周期も短くて6〜12日です。こんなに恒星の近くにいるにもかかわらず液体の水が存在し得るのは、トラピスト1がとても小さくてエネルギーも少ししか放出しない恒星だからです。


 Astronomy Picture of the Dayなどで出ている想像図(↓)を見ると、これらe, f, gの地表はSFの世界のようですが、1年が6〜12日という事実だけをとっても我々の地球とはあまりにもかけ離れた世界です。ここに生命が存在するとしたら一体どんな形をしているんだろうかと興味は尽きません。今回のNASAの発表はロマンあふれる発表ですが、そうは言ってもまだ宇宙に生命が存在する可能性が示されただけです。しかし、赤色矮星というありふれた存在に地球型惑星が数多く存在し、さらにその多くがハビタブルゾーンにあるなら、人類以外の生命がいるかどうかという究極の疑問に「ほぼイエス」と言えそうな大発見と言えるでしょう。

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