2017年2月26日日曜日

世界がよく見えているのは大人より子供 - WSJ

世界がよく見えているのは大人より子供 - WSJ:

 今回は、大人と子供で世界の見え方が違うという興味深い内容を、ALISON GOPNIK氏の記事を元に考えて見たいと思います。GOPNIK氏は、数年前に「The Philosophical Baby(哲学する赤ちゃん)」という著書で子供が大人よりも周囲のことによく気づいているのではないかという推測を書かれています。

 つまり、大人は興味ある対象に注意を向けるの「スポットライト」式なのに対して、子供の注意は全方位式の「ランタン」のようなものだというのです。確かに、自分も例えばあるものを買うという目的を持ってコンビニに入ったとすると、店を出た後に他にどんな商品があったかとかどんな店員さんだったかとかを質問されても、答えられないような気がします。「非注意性盲目」といって、大人は意識を集中させている対象は明確に観察したり覚えていたりしますが、意識を払っていない対象については驚くほど「見えていない」のです。

 科学誌サイコロジカル・サイエンスに掲載される新たな論文に、こう言った見方についての裏付けとなりそうな実験結果が示されています。米オハイオ州立大学のダニエル・プレバネク氏とウラジーミル・スラウスキー氏は、次のような実験を行いました。それは、緑と赤の図形が表示された一連の画像を4~5歳の子ども34人と大人35人に見せます。この時、被験者には赤い図形に意識を集中し、緑の図形は無視するよう事前に注意しておきます。次に、緑と赤の図形が表示された別の一連の画像を見せ、図形は先ほどと同じか、それとも違っているかを尋ねます。赤い図形が変化したときは、大人の方が子供よりも変化に気付きましたが、逆に緑の図形が変化した時は子供の方が変化に気づいたのだそうです。つまり、大人の意識・注意はメリハリが効いていて、意識しているものははっきり覚えていても意識していないものはほとんど覚えていない」のに対し、子供の注意はメリハリが少なく、意識していてもしていなくてもなんとなく覚えているという傾向があるのです。

 元記事に書かれたこの実験の内容を読んで、自分は脳科学者の茂木健一郎氏がよくテレビなどで紹介している「アハ・ムービー」のことを思い出しました。画像の一部が徐々に変化したり、2枚の少し異なる画像の違いを当てるゲームです(例えば↓)。他にも、昔「ウォーリーを探せ」という絵本があって、たくさんの人が描かれた絵の中からウォーリーや仲間たちを探すというものでしたが、こういう全体を俯瞰して探すようなゲームは、大人より先に子供が得意なことが多い気がします。

 逆に「小さい子供は集中力がない」なんていう言い方をよくされます。自分の子供を見ていても、もう少し集中して一つのことができないのかと思うことがよくあるのですが、本当のところは、子供たちは『注意を払わない』ことが不得手なので、大人のように世界を選別していないということなのです。例えば、子供を幼稚園に連れて行こうとした時、たいてい朝の大人は急いでいるので子供をとっとと幼稚園に届けてしまおうとしていますが、子供の方は空に飛行機を見つけて見たり道端の草木を眺めたりして親をイライラさせたりするものですよね。

 そういえば、最近懇意にさせて頂いてるブロガーのトニーマサキさんが、発想を得たい対象から全く離れている時に逆に発想が浮かぶという、「インスピレーション」に関する興味深い記事を書かれていました。
(記事の内容はコチラ
 →http://tonymasaki.net/tonymasaki-novel/

 掃除をしている時に舞台用台本の発想が生まれたということだったのですが、思わぬ時間と場所でインスピレーションが湧くことが多いという法則が面白く、確かに自分の経験を振り返っても、研究テーマだったり開発上の課題だったりを考えに考え抜いた後、別の作業をしてふと一歩引いた時に「閃く」ような気がします。自分の拙い経験よりも、ニュートンが木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を発見したというあの有名な逸話も、「深い思考」から「広い思考」に切り替わった瞬間というか、「主観の思考」から「客観の思考」に変わった瞬間というか、そういう時にインスピレーションが湧くことを示している気がします。これって、今回話題にした「大人的なスポットライト式の集中」から子供式の「ランタンのような広い視野」に切り替わった時という言い方もできるんじゃないかと思うのです。

 難しい問題を考えている時や何かの壁にぶち当たって悩んでいる時、そのブレークスルーのためのインスピレーションを得るコツは、意外にも「子供と散歩に行くこと」かもしれませんね。

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