2017年9月10日日曜日

「男の仕事」はロボットに奪われ「男であること」を時代遅れにする

「男の仕事」はロボットに奪われ、「男であること」を時代遅れにする|WIRED.jp:

 この山ちゃんウェブログでは、ロボット・コンピューター・人工知能(AI)といったテクノロジーが人間の仕事を奪っていくという趣旨の記事を何度か書いてきました。非常に大雑把にいってしまうと、肉体派の仕事(いわゆるブルーカラーと呼ばれる仕事)はロボットに、頭脳派の仕事(いわゆるホワイトカラー)のうちでも比較的単純なものは通常のコンピューターによって、そして頭脳派の中で極めて高度な知識と判断を要する仕事でさえもAIによって取って代わられようとしています。しかし、こういった文脈で語られるのは無意識に男性の仕事だけがターゲットにされている、そして男性の仕事というのが、いわゆる「男らしさ」というものと強く関連づいている、そういったことに気づかされたのがLaurie Penny氏による今回の元記事です。

 従来の「男らしさ」とは「たくましさ」にも近く、それは肉体的な強靭さを表す言葉でした。生きていくためには、妻や子供を守っていくために、男性は狩猟や農業・漁業などいわゆる身体を使った仕事をこなしてきました。文明が発達してもなお、一次産業だけでなく二次産業でも肉体派の仕事は男性の活躍の場で、建設現場や工場作業など危険が伴ったり体力が要求されるような仕事は男性が担い、それをもってして「男らしさ」という概念が培われてきました。

 そして、ブルーカラーの仕事がロボットや機械に奪われるに従って、「男らしさ」という言葉の持つニュアンスが微妙に変化してきたと思うのです。「男らしさ」は単に筋骨隆々としたイメージから、もう少し「スマートな」とか「頭のいい」と言ったニュアンスで語り始められたのです。それは、ブルーカラーの仕事を追われた男たちが転身した先のホワイトカラーの仕事が持つイメージです。よく考えてみれば当たり前なのですが、「男らしさ」という言葉が持つイメージは、その時代の多くの男たちが就く仕事の持つイメージに一致するのです。

 では、ホワイトカラーの仕事がコンピューターやAIに奪われるようになると、「男らしさ」という言葉は一体どんなニュアンスに変わってくるのでしょうか。ここで、最近の「草食系男子」とか「女子力男子(女子化する男子)」なんていう言葉の浸透が、ある予測を成り立たせます。つまり、肉体派のブルーカラーの仕事も頭脳派のホワイトカラーの仕事も奪われた男たちが次に就くべき仕事とは、ズバリ「ピンクカラー」の仕事なのかもしれないと。ピンクカラージョブというのは、看護師・保育士・家政婦・店員・秘書など、これまで女性が従事することの多かった仕事を指す言葉です。

 実際、この予測を裏付ける調査結果も多く見られます。女性が担うことが多かったピンクカラージョブや無報酬の労働は、比較的ロボットやコンピューター・AIなどに奪われることはなく、託児業務・サービス業・看護などの分野ではむしろ雇用が伸びている仕事もあります。アメリカの労働統計局では、これらの分野では今後10年で1万人の雇用が創出されるとしています。自由市場の論理は、ある分野で雇用が縮小すれば、職を失った人は新たなスキルを身に着けて、生産性のある別の分野に移行して行きます。これまでの男性たちは、実際そうやってブルーカラーからホワイトカラーへと転身してきたわけです(もちろん1人の男性がキャリアの中で転身するケースだけでなく、世代が変わるタイミングでホワイトカラージョブに就くと言うケースも多かったのですが)。

 元記事の著者であるPenny氏は、それは少し違うと言われています。なぜならピンクカラーは「女の」仕事だからだと。女性が担うことの多かったピンクカラージョブは低賃金で、社会的地位も低いので、男はもっとましな仕事に就きたいという「プライド」があると言うのです。Penny氏が見ているのがアメリカ社会なので、男性側にある種の「プライド」があってピンクカラージョブを受け入れがたいと言うご意見はもっともかもしれません。しかし、自分が見ているのは日本社会で、日本社会の場合、男性が思いのほかこの種のプライドを持っていないことに気づかされます。いい意味でも悪い意味でも、日本の男たちは古い意味の「男らしさ」にこだわらず、臨機応変に対応できる柔軟さを持っています。案外すんなり「ピンクカラージョブ」に移行できるのは、日本の男性たちではないかと思うのです。

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