2017年9月26日火曜日

時間と空間は実は同じ!? 時間の速さが人によって違うウラシマ効果を理解する

時間の速さは人によって違う!? 新時代の「時間観」をご存じですか(松浦 壮) | 現代ビジネス | 講談社(1/3):

 今回は、相対性理論を分かりやすく説明している記事を見つけたので、ご紹介したいと思います。元記事は、慶應義塾大学の松浦壮教授が現代ビジネスに寄稿されている記事で、松浦氏は京都大学で取られたのは理学の博士号であるにも関わらず、慶應では商学部で物理学の教鞭を取られている方です(だから文系の人にも分かりやすく説明されているのかもしれませんね)。

 最初に「時間と距離は同じ単位で測ることができる」という、面白いお話をされています。いやいや、例えば時間は「秒」だし距離は「メートル(m)」という単位なんだから、全然同じじゃないじゃないかと思いますが、それは我々が時間や速度の基準にしている「光」の速さがあまりにも早すぎて私たちが実感できるスピードじゃないからです。感覚的に捉えられないものを基準にすることはできませんが、例えば、もし光が1秒間に1mだけしか進まないのであれば、1mと言ったときにそれが純粋に距離としての1mだけでなく基準となる光が1m進むだけの時間をも表すことができることに気づくでしょう。

 ところで、さらっと時間や速度の基準は「光」だと言いましたが、別に光じゃなくてもいいと思いませんか。感覚的に捉えられない光じゃ不便なので、もっと実感しやすい新幹線とか先日9秒台をマークした桐生祥秀選手の100mを走るスピードでもいいじゃないですか。ところが、それは違うのです。基準は「光」じゃないといけないのです。光はとても面白い性質があって、そのスピードは「誰から見ても299,792,458 m/秒(≒30万km/秒)」です。ここで重要なのは、1秒間に地球を7回半なんてすごいスピードだということではなく、「誰から見ても」の方です。だってそうじゃないですか、日ハムの大谷翔平選手が投げる165km/時の豪速球も、仮にそのボールと同じ向きに160km/時で進む新幹線の中から見たら、わずか5km/時のスローボールになるはずです。「相対速度」という概念ですが、なんと「光」にはこの概念が当てはまらないのです。光の半分15万km/秒のスピードで飛ぶロケット(そんなものはありませんが、仮にあったとして)の中から光を見ても、光は半分のスピードには見えずやっぱり30万km/秒というわけです。これはとても面白い性質で、この性質があるからこそ我々は「光」を時間の基準にできるのですが、もしこの性質がなければ、地球の周りを数km/秒という高速で飛ぶ人工衛星から発信されるGPS電波(電波は光の一種)が、人工衛星と地球の自転・公転の相対速度で進むなら、G位置の特定に何数百メートルもの誤差が生じてしまいます。GPSが正しく機能していること一つ取っても、光速が一定であることの証明になるのです。

 驚くのはこれからです。光は誰から見ても一定のスピードだということを「正」とすれば、「時間は時間、距離は距離」という価値観は実は幻想で、時間と空間は本質的に同じもの(同じは言い過ぎでも、少なくとも仲間)であることが分かるのです。「距離=速さ×時間」ですから、速さ一定という光の世界では、距離と時間が比例関係にあることになるのです。松浦教授はもっと分かりやすい例を示されています。
それは、こんな風に高さ15万kmの超高層マンションという極端な例です。この超高層マンションの屋上から真下の地上にある鏡に向けて光を放つと、光の速さは30万km/秒ですので鏡で反射した光はちょうど1秒後に屋上に戻ってきます(左側の図)。これをマンションの屋上すれすれを飛ぶ飛行機の中から見ている人から見ると、その人からすればマンションが後ろに動いているので、右側の図のように光もそれに合わせてVの字のように屋上に戻ります。このVの字は左側の図で光がたどった30万kmよりも当然長くなります。しかし、光のスピードは「誰から見ても」30万km/秒ですから、飛行機の中の人から見ても30万km/秒な訳で、そうすると不思議なことが起きます。右側の図のVの時は30万kmよりも長い距離なのですから、このVの字を光が進むには1秒よりも長い時間がかかります。

 この不思議な事実こそが、相対性理論における「ウラシマ効果」と呼ばれる現象なのです。超高層マンションの屋上から出た光が地上で反射して戻ってくるまでの時間は、屋上にいる人にとっては1秒ですが飛行機の中にいる人にとっては1秒よりも長い時間だということなのです。浦島太郎が竜宮城にいる間に地上では何千年も流れてしまったという「浦島太郎」の物語も、竜宮城への旅が超高速の宇宙旅行だったとすれば、浦島太郎にとっては地上よりも時間がゆっくり流れるという理屈で説明できるというわけです。ブラックホールにほぼ光速で吸い込まれている星ではほとんど時間が止まってしまう(見たことありませんが)というのも、同じ理屈なのです。

 人間にとって時間と空間は明らかに別モノと認識しますが、そんな人間の都合とは関係なく、事実として時間と空間は本質的に同類だということなのです。この不思議な「ウラシマ効果」は、こう理解することもできます。それは、どんな物体も時間と空間を合わせた概念(このことを「時空」と言います)の中では、一定のスピードで移動していると考えるのです。例えば、完全に止まっている物体は時間の方向にだけ移動する(と考える)ので、そのスピードは光と同じ30万km/秒相当のスピードです。ところがこの物体が空間上でもあるスピードで移動すれば、さきの30万km/秒相当からその分をスピードを空間移動に割り振られるので、時間方向への移動スピードはその分減ってしまうというわけです。

 時間と空間は分けることはできない...それならば、空間がx, y, zの3つの軸で示せるのに対して時間方向の軸t も同じ土俵上にあるわけですから、この宇宙は4次元なんだと考えることもできるかもしれません。そう思うとなんだか夢があるような、面白い科学の世界がその向こうに広がっている感じがしますね。

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