2017年10月27日金曜日

「栗まんじゅう問題」のさわりだけ考えてみる

ドラえもん、5分毎に倍になる栗まんじゅうを宇宙の彼方に捨てる | 不思議.net:

 皆さんは「栗まんじゅう問題」というのをご存知でしょうか。なんだか難解な物理法則かあるいは生活・栄養学的なものかと思った方、残念でした。実は、国民的アニメ・漫画「ドラえもん」に出てくる秘密道具「バイバイン」で増殖し続ける栗まんじゅうがその後どうるかを考察するという、バカバカしくも大真面目な議論のことです。

 ひみつ道具「バイバイン」のストーリーについては、こちらを見て頂きましょう(↓)。バイバインとは、1滴たらすと5分ごとにその物体を「倍」に分裂させるという薬品(質量保存の法則とかいろんな矛盾点はさておき)。のび太くんは、たった1つしかない栗まんじゅうではお腹が満たされないからとこの薬品をたらします。ドラえもんは、この薬品で増えた栗まんじゅうは必ず残さずに食べるよう言い残して出かけますが、これはいつも1つ残しておけばいつまでも栗まんじゅうを食べ続けられる「永久機関」だということに気づいたのび太くんは、5分ごとに2個に増えた栗まんじゅうのうち1つを食べるということを繰り返します。しかし、やがてお腹いっぱいになって食べきれなくなり、ジャイアンやスネ夫くん・しずかちゃんにも手伝ってもらいますが、とうとう2個・4個・8個・16個...と次々分裂するスピードに追いつかなくなります。あふれかえった栗まんじゅうを見たドラえもんは、仕方なく小型ロケットで宇宙の彼方へ送ってしまう...というストーリーです。


 このお話の元は、ロシアのベリヤーエフが書いた小説「永久パン」だと言われています。アンサイクロペディアに、この問題に対して大真面目に議論が展開されているので、科学に興味がある方、詳しく知りたい方は是非そちらを参考にして頂くこととして、ここではその "さわり" として、ドラえもんが栗まんじゅうを宇宙の彼方へ送っていなかったらどうなっていたかを実感するために、増殖のスピードを計算する部分だけアンサイクロペディアの論理を示してみましょう。

 栗まんじゅうが分裂を初めてからt秒後、栗まんじゅうの「塊」はほぼ球体状と考え、その体積V(t)、半径r(t)とすると、球の体積の公式により

時刻t=0の時の栗まんじゅう塊の膨張初速度をV0とすれば
ここでTは栗まんじゅうが分裂する周期である300秒です。これら2つの式により
と、時間t秒が経過した時の半径を求めることができます。時刻t=0の時の栗まんじゅう塊の半径をr0とすれば、
で、栗まんじゅうの塊が大きくなるスピードは、これを時間で微分した
すなわち、上記のr(t)の式をこれに代入すれば、
となり、栗まんじゅうの塊が半径方向に大きくなるスピードは塊の半径が大きくなればなるほど増すことになります。栗まんじゅう塊の初期半径(つまりまんじゅう1個の半径)r0=2.88cmとすれば、その膨張速度dr/dtは分裂開始4時間45分で新幹線「のぞみ号」の時速270kmを越え、11時間後には光速に到達することになります。ただし、これは相対性理論を無視した論理になっていますので、実際には光速に到達したりそれを超えることはありませんが、その膨張速度があっという間に驚異的なスピードになることくらいは分かるわけです。のび太くんが増えた栗まんじゅうを食べきれなかったことを知ったドラえもんの驚愕ぶりも、バイバインの驚異的な増殖力からすれば当然ですね。

 さて、バカバカしいことを大真面目に数式まで使って確認してみたわけですが、実際には、ドラえもんは栗まんじゅう塊を風呂敷で包んで宇宙空間に放り出しましたので、この前提のように互いに万有引力で引き合って塊として成長することはなさそうです。その証拠(?)に、ドラえもんの映画「のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜」(リメイク版)には、宇宙船内の満月博士の後方に宇宙空間を漂っている栗まんじゅうが描かれていますが、バラバラに空間を漂っているだけにすぎません(↓)。ちなみに、この映画に描かれる魔王デマオンは栗まんじゅうが好物というウラの設定があるそうで、自分が子供の頃のオリジナル版「のび太の魔界大冒険」にはそんな設定はなかったはずなので、ネット上で話題になった栗まんじゅう問題を制作側がうまく取り入れたのかもしれませんね。

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