2017年10月10日火曜日

「ドラゴンボール」のかめはめ波。科学的には普通の人にもできる?

『ドラゴンボール』のかめはめ波。自分にもできそうな気がするけど、本当にできる? | 空想科学読本WEB:

 今回はアニメや漫画の世界を科学的見地から大真面目に考えてみる「空想科学読本WEB」の記事から、ドラゴンボールのかめはめ波に焦点を当てた内容をご紹介したいと思います。ここ何回か数学に焦点を当てた記事を書いたりしましたが、その中で出会った記事です。

 かめはめ波と言えば、ご存知超人気アニメ「ドラゴンボール」で、主人公の孫悟空が「かーめーはーめー」と言いながら両手を向かい合わせてその中に「気」のパワーを集中させ(↓)、「波ー!」の叫び声とともに一気に前方へそのパワーを放出するという必殺技です。ドラゴンボール世代の男の子なら、必ずと言っていいほど真似したことがあるんじゃないでしょうか。ドラゴンボールに登場する必殺技の多くは、「気」のエネルギーを爆発させたものだとされていますが、一体「気」とは何なのでしょうか。Wikipediaを見てみると、英語でいう「オーラ(Aura)」と同様に生命力や聖なるものとして捉えられた気息、つまり息の概念がかかわっていると説明されていますが、「気」が「息」だとするとエネルギーとして捉えられないので、ここでは「体内のエネルギー」の総称のことという程度に捉えることにしましょう。つまり「かめはめ波」を、体内のエネルギーを両手の間に凝集して、それを一気に解放する技だというように定義するのです。そして、そのかめはめ波を私たちが撃つことは科学的に可能なのか、というのが今回の命題です。


 まず「気」すなわち「体内のエネルギー」というのは、どれほどあるのでしょうか。例えば、体重50㎏で体脂肪率20%の人の体には、10㎏の体脂肪があることになります。脂肪は1gあたり9kcalのエネルギーが含まれるので、
   9×10×1,000=9万kcal
ものエネルギーを体内に持っていることになります。これはダイナマイト450本分くらいに相当します。さすがにスーパーサイヤ人とか超かめはめ波の領域は難しくても、少年期の悟空が放つかめはめ波くらいのエネルギーなら十分に持っている計算になります。(元記事では、天下一武道会で悟空がピッコロ大魔王に放ったかめはめ波が、武舞台に直径10m・深さ10mほどのクレーターを作ったことから、そのエネルギー量を2万6千kcalと見積もっています)

 ところで、人間は一日におよそ2千kcalほどを食べものから摂取しますが、そのうち半分は生命の維持に使用されますが、残り千kcalは熱となって身体から放出されます。手のひらの面積は両手を合わせて身体の表面積の1/50程度なので、両手の手のひらから毎日20kcalの熱エネルギーが放出されています。だったら、この熱エネルギーを逃さないように手のひらの間に貯めたらどうでしょう。目標は2万6千kcalなので、かめはめ波の威力のエネルギーを貯めるためには
   2万6千kcal÷20kcal/日=1,300日=3年7ヶ月
の時間がかかることになります。確かに3年7ヶ月は長いですが、悟空ほどの拳法の達人でなくても、時間さえかければかめはめ波を撃てることになりそうです。

 ただ、残念ながら時間をかけて熱エネルギーを貯める作戦には大きな欠陥があります。それは、熱エネルギーは自然なままでは温度の低い方から高い方へは移動しないということなのです。せっかく手のひらから放出される熱で、両手の中の空気の温度を上げても、体温よりも高くは上がらないのです。この問題の解決策としては、実は「ヒートポンプ」というのがあります。例えば、真夏のエアコンを考えて見てください。外はカンカン照りで35度、しかしガンガンに冷房を効かせた室内は25度。普通なら、外と室内の温度は同じになっておしまいですが、ヒートポンプという素晴らしい技術のおかげで温度の低い室内から温度の高い外へ向かって熱を運ぶことができるのです。

 高性能ヒートポンプ付き手袋が開発されれば、温度の低い手のひらから温度の高い手の中の空気へ熱を移動させてさらにエネルギーを貯められそうですが、ここでもう一つの問題が立ちはだかります。それは、熱を持った空気は、膨張して温度を下げようとすることです(温度が下がるとせっかく貯めたエネルギーが霧散してしまいます)。そのため、絵(↑)の中の悟空のように、両手でその膨張をさせないようしっかりと押さえ込む必要があるのです。2万6千kcalが両手の中に溜まった状態では、その温度は2億4千万度と超高温で、空気が膨張しようとする力はおよそ6万7千万トンです。これを腕力と気合いと根性で押さえ込みます。ただ、さすがに生身の人間には不可能なので、そこは最近発展がめざましいロボット技術に期待しましょう。介護などで腕力が必要な場合も、人間をサポートする形でその腕力を提供するロボットが開発されていますので、将来的にかめはめ波をサポートするためのロボットが開発されることを期待します。

 さあ、これで大きな問題2つを解決できました。まあ、ヒートポンプ付き手袋は現実味がありますが、2億4千万度と6万7千万トンに耐えられるロボットはちょっとやそっとじゃ無理ではありますが、遠い将来そういうのが開発されたとしましょう。悟空でなくても、時間をかけてテクノロジーの力を借りれば、自分のエネルギーだけでかめはめ波を撃てることになりそうです。しかーし、しかし。最後にして最大の難関が待ち受けています。それは、高性能ヒートポンプと特殊ロボットを身につけ「かーめーはーめー」と3年7ヶ月の間エネルギーを貯め続けるところまではいいのですが、最後の「破ー!」で6万7千万トンの力が一気に解放されます。その力の向きは360度、つまり手元でダイナマイト130本の大爆発が起きてしまい、敵どころか爆心に近いあなた自身が先にやられてしまうことになるのです。

 惜しい、なんとも惜しいですね。あとちょっとで、かめはめ波が撃てるところだったのに。ここは、2億4千万度と6万7千万トンに耐えられるロボットがそもそも非現実的なので、手元の大爆発からあなたを守ってくれる頑強なシールドが開発されるのも待つことにしましょうか。

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