2017年11月4日土曜日

クレイジーな黒髪強要教育にも背景があるはず

茶髪禁止には多分理由がある|世界のどこでも生きられる|May_Roma|cakes(ケイクス):

 大阪府羽曳野市の府立懐風館高校に通う3年生の女子生徒が、教師から髪を黒く染めるよう強要され、精神的苦痛を受けたとして約220万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしたというニュースをご覧になった方も多いと思います。今回は、元国連専門機関職員で国際経験豊富な@May_Roma(めいろま)氏による記事を元に、この服装や髪型・身だしなみに異常に厳しい日本の教育現場を考えてみようと思います。

 報じられているところによれば、この女子生徒はアメリカ人の祖父を持つクォーターなので地毛が茶色く、校則の黒髪を守ろうと4日ごとに髪を染める努力はしたものの、頭皮はかぶれ髪はボロボロになってしまい、そうまでしても「まだまだ不十分」「アウトだ」と言われて修学旅行にも行かせてもらえなかったのだとか。案の定このニュースは「クレイジー・ジャパンの嘘のような本当の話」として全世界に配信されており、ジャパンに行くと「ちょんまげ」を強要されるらしいぜなんて言われていないか心配なところです。国内メディアの反応もだいたい同じですが、赤木智弘氏の記事などさらに辛辣です。テレビ画面に映る懐風館高校教頭は、髪型がちりちりの天パ気味で白髪混じり。茶色や金髪に染めるなと言うなら分かるが、地毛が茶色でも黒く染めろと生徒に強要するなら、まずは教頭が白髪を黒く染めストレートパーマを当てるべきだ、なんて批判をされています。

 最近企業では「ダイバーシティ」という言葉が流行っていて、簡単に言えば性別や人種の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れて、広く人材を活用しましょうというキーワードです。この「多様性」を真っ向から否定するかのような今回の懐風館高校ですが、公立高校が地域と断絶して存在していたわけではないはずであり、地域からの要請というか期待のようなものがあって「黒髪強要」に至っているのではないかというのが@May_Roma氏の論調です。例えば、テレビ朝日のモーニングショーでコメンテーターの玉川徹氏(テレビ朝日解説委員)・中林美恵子氏(早稲田大学教授)のように、「論外」「多様性を無視した、完全にはき違えた教育」と切り捨てるのは簡単です。しかし、これは懐風館高校だけのクレイジーな教育だというわけではなく、他の学校や地域にも同じ「気運」というかそういう教育が生まれた背景があるはずです。

 生徒の髪の色をそこまで必死に黒くしようとする背景の一つには、やはり就職の問題があるのではないかと@May_Roma氏は予測されています。懐風館高校の偏差値はだいたい45くらい。底辺校とは言わないものの、進学校というには程遠く、卒業後は地元で就職する生徒や専門学校へ進学という生徒も多いことでしょう。そして、特殊技能がない高卒や専門卒の人の場合は、接客などのサービス業とか工場のラインなど製造業に就くことが多いのです。なかには、市役所などで地方公務員として働く人もいるかもしれません。接客業や工場のライン工などの人には、自己主張が常識的な範囲内であること、時間を守れること、若いお客様も年配の客様も怒らせないことが重要です。よく言えば「常識人」であること、悪く言えばステレオタイプな人物像が要求されるのです。むしろ超進学校から天才科学者になったり起業をするような人は、鳥の巣のような髪型をしていても刺青をしていても大丈夫なのです。「底辺校」を卒業した人が常識人であることが求められ、「進学校」を卒業した人が奇抜なファッションや髪型などの自己主張が許されるのです。そのことが本能的に分かっているのか、高校に通う生徒はその「逆」を実践しようとします。将来的に常識人になることが求められる底辺校の生徒こそ高校時代は奇抜なファッションをし、逆に将来的に自己主張ができる進学校の生徒こそ高校時代は大人しいファッションをしているのです。

 つまるところ、進学校でもなく特殊技能を教えるわけでもない懐風館高校のような学校は、ステレオタイプの常識人を多く輩出することが求められ、奇抜なファッションやとんがった自己主張をする人を輩出することは求められていないのです。@May_Roma氏の知り合いにはいわゆる底辺校に通っていた人もいるそうで、底辺校では授業中に立ち歩く生徒がいたり、制服に真っ白なハイヒールで登校してきたりドレッドヘアの頭で机の上に足をどんどん乗せる生徒もいるそうです。髪の毛は茶髪どころじゃなく完全な金髪で、どこの国の人だよってレベル。底辺校では親の方も、子供の生活態度にも就職も学業にも興味なんてありませんし、そもそも親子面談もすっぽかしして酒を飲んで寝てる親も多いのだとか。そんな状態だから、底辺校はまずは制服とか時間厳守とか髪型から統率しないと秩序が保てないのです。成績上位校の場合は校則を厳しくする必要はありませんよ。生徒も親も世間の目というものが分かっていますし、自分の行ったことの結果というのを理解していますから。

 もちろん、地毛が茶色の子どもにまで黒く毛染めを強制することは行き過ぎです。確かに行き過ぎなのですが、厳しい校則は人権侵害だと主張している人は、中流階級以上の方が多いようです。食べるに困らず、お上品で、同級生は投資銀行とか医者とか商社とかテレビ局とか、そういうゲットーに住んでて、そういう人たちだらけの学校出身。子供はお受験。身内や知り合いには、深夜に弁当の中身を詰めたりイラン人に混じって産廃の仕分けするような人はいません。俺の高校は校則なんかなかったと階層自慢のマウンティング合戦する人は、非正規雇用で時給1500円の毎月契約更新じゃないですし。

 生徒の自主性を重んじるとか、創造を育む場のような理想的な学校を思い浮かべることも大切ですが、それができるのはある一定以上のレベルの学校だけだというのもまた事実です。定時に出勤できない、服装規定が理解できない人を訓練して、社会でやっていけるようにする、食べていけるようにするということも、やはり教育に期待されていることなのです。

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