2017年11月11日土曜日

「ネ申エクセル」と「Excel方眼紙」をめぐる議論

“ネ申エクセル”をめぐって徹底討論! 「Excel方眼紙公開討論会」開催:レポート|gihyo.jp … 技術評論社:

 皆さんは「ネ申エクセル」という言葉をご存知ですか。エクセルといえばMicrosoft社の表計算ソフトExcelのことだし、それが「神」というくらいだからExcelの素晴らしさを讃えたものかと思えば、さにあらず。よーくみると「神」ではなく「ネ申」。見た目はよく似ていますが、文字としてはカタカナの「ネ」と漢字の「申」をそれぞれ偏(へん)と旁(つくり)として使っていて、これを読むのが人であれば「神」と読めるもののコンピュータに読ませると「ネ」と「申」になってしまいます。このように、人が入力したデータを人が読んだり印刷したりする場合はまだしも、コンピュータで再利用できない(もしくは再利用が難しい)ケースが「ネ申エクセル」と揶揄されるのだそうです。

 「ネ申エクセル」をいとも簡単に作り出してしまうのが、「Excel方眼紙」と呼ばれる入力用シートです。最もひどい例がこんな(↓)やつで、何がひどいかと言うと、1セルに1文字しか入れない前提なので、もはやコンピュータどころか人がキーボードを使って入力するのさえ困難です。こういうタイプのExcel方眼紙を作る人は、これを入力する人のことさえ考えられないのかも知れません。

一方で、Excel方眼紙の何が悪いんだという立場の人もいます。元記事の討論イベントにも登壇されているプログラマの長岡慶一氏は、Excel方眼紙を不便と思ったことがないと述べられています。どちらかというとExcelシートからデータを抜き出して再利用しようというプログラマの方の言ですから、Excel方眼紙もいいものなのではないでしょうか。

 しかしよく考えると、Excel方眼紙の反対派の方と賛成派(というか容認派)の方が思い描いている「Excel 方眼紙」は実は微妙に異なっているのです。Excel方眼紙なんか百害あって一利なし言う方が思い描いているのは、方眼紙というよりも作文を書くときの原稿用紙をイメージしているような気がします。最もひどい例として先に出したこんな(↑)やつは、英語入力ならまだしもフレーズ単位で入力する日本語ワープロだと、書いたフレーズを1文字ずつに分解して1つ1つのセルに入れなければなりません。これはとても効率が悪く、下手したら手書きよりも時間がかかります。こんな1セル1文字のExcelから値を読み出してデータベースに入れるようなプログラムを作ろうとすれば、できないことはないけどとても大変ということになります。

 一方で長岡氏のようなExcel方眼紙容認派の方が思い描くのは、こんな感じ(↓)の方眼紙ではないでしょうか。どちらかというと複数のセルを1つに結合して大きめのセルを作り、そこに入力させようとするタイプです。実は、これならワープロ入力もそれほど大変じゃないですし(タブやエンターキーで次の入力用セルに移動できるようにする等の親切機能には多少の工夫が要りますが)、データの再利用性も高いです。1つのセルに1つのデータが理想とすれば、複数セルを結合したセル1つに1つのデータですから、それほど利便性が下がっていません。


 ちなみに、自分が最近出会ったExcel方眼紙は、1つのセルの中に「名前:   」となっていて、このコロンの後に名前を書いてくださいという意味なのですが、こういうのも使いづらいExcel方眼紙の一つです。入力するときはわざわざコロンの後までカーソルを移動する必要がありますし(間違って「名前:」を消してしまうこともある)、書く前にコロンの後の余計なスペースも消さないといけません。データを再利用するプログラム側からすれば、セルの値からコロンの右側だけを取り出さなければならないのです。

 つまり、「Excel方眼紙」そのものが悪いのではなく、入力する人やデータを再利用する人に対する思いやりが感じられるExcel方眼紙はむしろ歓迎してもいいくらいで、そういう思いやりを一切感じられない「ネ申エクセル」をも作り出せてしまうことがExcel方眼紙の罪なところということだと思うんです。VB(Visual Basic)の入力フォームだったら誰が作ってもだいたい一定のレベルのものができますが、Excelの場合は入力フォームの使いやすさ(使いづらさ)はピンキリになってしまいます。

 「ネ申エクセル」は帳票などの紙の仕事が中心という職場で生まれやすいと思うのですが、「ネ申エクセル」を作り出す人というのは、何もわざと入力者を困らせてやろうとか、この入力データを集計するプログラムを作る人を困らせてやろうと思っているわけではないと思うんです。「ネ申エクセル」の生みの親は、そもそもExcelのことをよく知らないという人です。知識がないために、紙ベースの申請書や原稿用紙をそのままExcelで作ろうとして、頭の中は印刷された結果がこれまでの紙と同じかどうかしか考えていないので、入力する人の手間や集計する人の苦労まで思いが届かないのです。

 あなたの周りで「ネ申エクセル」を次々と生み出す厄介な人がいる場合、その人を非難する前に、Excelのセミナーや講習会などで知識を獲得させてあげる必要があると思うんです。

0 件のコメント:

コメントを投稿