2018年3月8日木曜日

子どもを持つことは「ぜいたく」なのか?

今の日本で子を持つことは「ぜいたく」なのか? | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト:

 少し前に「『普通の人』のハードル、上がりすぎてませんか?」という記事を書きましたが、今回はその続きとも言える「子ども持つって『ぜいたく』なことなんですか」という話題です。元記事は社会教育学者の舞田敏彦氏によるものです。

 例えば、藤田孝典氏の著書『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』(講談社現代新書)には、「結婚・出産なんてぜいたくだ」なんてフレーズが踊ります。もちろん読者の気をひくためのキャッチコピー的な側面はありますが、現実を言い当てている面もあると思います。自分たちが子供の頃に描いていた普通の40代男性像は、普通の会社に就職していて結婚していて子供がいて、ローンはあるかもしれないけど持ち家があって。そんな大人を想像していましたが、いざ自分がその立場になってみると、これがハードルが高い。正社員になること、結婚すること、子どもを産んで育てること、家を建てること、......。自分たちより下の世代には、この「普通の人」ハードルはさらに上がっているかもしれません。

 特に今回のテーマ「子どもを持つ」ことに関しては、経済協力開発機構(OECD)の成人学力調査「PIAAC 2012」を元に舞田氏ご自身が作成されたこの表(↓)が物語るように、年収が高い人は子どもを持てるが年収が低い人は持てないという「格差」が諸外国に比べても比較的大きいことがわかります。
つまり、日本は、経済力と結婚・出産の関連が最も強い社会であると言えるでしょう。特に日本は、低所得の中年男性が子がいる比率がズバ抜けて低く、(1)低収入によって結婚できないこと、(2)たとえ結婚できたとしても子育てにお金がかかるため出産に踏み切れないこと、の大きく2つの要因があると考えられます。

 (1)の問題については、「愛さえあればお金なんて」とは言えども、現実の生活を考えると女性が男性に経済力を求めるのもやむを得ないところがあります。既婚者と未婚者の年収を見てみる(↓)と、男性は既婚者の方が収入が多いのに対して女性は未婚者の方が高収入であることがわかります。結婚というイベントがキャリアに及ぼす影響は、男女で反対の方向なのです。夫婦共働きがだいぶ根付いてきたとは言え、女性は結婚して子育てをするとなると、退職か休職あるいは時短勤務を強いられるケースも多いと想像されますので、そこで減った収入を配偶者に求めることになるわけです。
そして(2)の問題。諸外国に比べても日本の教育費は非常に高く、公立学校に火曜う前提だとしても、子ども一人を大学まで出そうと思うと1千万円以上の費用はかかります。非正規社員や将来の安定性の低い仕事にしかつけない人にとっては、子どもが大学卒業するまでの期間コンスタントに費用を捻出し続けられる自信が持てないケースも多いでしょう。

 一方で、日本には「貧乏人の子だくさん」という言葉がありました。戦後すぐくらいまでの日本社会は、自営業や家族従業が多く、子は労働力と位置付けられ、今とは違って高校・大学への進学率も低かったので、教育費もかからなかった時代でした。その頃の日本と現代の日本、社会全体としての裕福度を考えると明らかに現代の方が優っているでしょう。日本社会が目指してきた社会全体としての裕福度の上昇、それが逆に格差を大きくして、経済的な理由で子どもを持てない人を生み出している...なんだか切ないですよね。

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