2018年4月28日土曜日

IoTってホントに1つ1つ繋げるの?

ソフトバンク、月10円からのIoT通信サービス開始  :日本経済新聞:

 今回はIoT(Internet of Things)を生業としている自分としては見逃せないニュース記事、ソフトバンクが月額10円からという破格を打ち出したという話題。そして、月額10円で本当にモノ1つ1つがネットに繋がるのがベストな解なのかという話題です。

 IoTというのは「モノのインターネット」などと、なぜか「モノ」をカタカナで書くのですが、世の中の様々なモノがインターネットにつながって大量のセンシングデータを収集できるという「世界観」を表しています。「世界観」ですから、具体的な一つの技術というよりも様々な技術の組み合わせとして成り立っている概念です。この言葉を最初に使ったのは、P&Gのアシスタントブランドマネージャ時代のKevin Ashton氏だと言われており、なんと1999年のことでした。それから20年近く時間が経ち、ようやく世界がこの概念についてこれるようになってきたわけです。

 この山ちゃんウェブログでは「IoT」をセンシングからネットワーク経由でデータをクラウドへ蓄積し、その膨大なデータ(ビッグデータ)から何らかのナレッジを得て実世界へフィードバックするという巨大なループだと位置付けてきました。しかしそれは、IoTといえば RasberryPI のことだとか、IoTといえばLPWA(Low Power Wide Area)のことだとか、そういう局所的な技術だけを言うわけではないという強調でした。

 今回注目したソフトバンクの新サービスは、気兼ねなく多くのセンサー類をインターネットに接続できる月額10円からのサービスです。月に10円なら「IoTはいいけどインターネット接続するコストがなぁ」と言わなくて済みますよね。ただ、月額10円なのは10キロバイトまで。それを超過した場合は、1キロバイト当たり0.6円かかるプランです。ちなみにKDDIでも月額40円というプランがありますが、500万回線超を契約した場合と自前の工場だけでは敷居が高いのに対し、ソフトバンクは1回線でも利用できます。

 ソフトバンクもKDDIも「IoT」をその名の通り、「モノ」1つ1つが個別にインターネットにつながることが前提となっており、現在言われているほとんどのIoTはそういう構成を考えているものと思います。しかし、本当にセンサー1つ1つがネットに繋がる世界がベストなのでしょか。

 月額10円で10キロバイトの通信ということは、例えばセキュア通信を行おうとするとオーバーヘッドが大き過ぎて難しいでしょう。無駄なデータを含まないよう純粋にセンサーデータだけを送信するにしても、相互認証とか暗号化なんてやっている余裕はありません。もちろんセンサー側もコスト面を考えると高性能CPUは積めませんから、ある意味身の丈にあった通信プランかもしれません。そして、こういう時必ず一緒に議論される電池の "持ち" ですが、今回のソフトバンクの記事では単3電池2本で10年以上通信できると言います。しかし、10年経って電池が切れたあとは、一体どうなるのでしょうか。誰かが1つずつ交換して行くのでしょうか。KDDIが前提とするような400万とか、総務省の言う何百億とか、そんなとてつもない数のセンサーが続々と電池切れをおこすのです。センサーの価格そのものも安いでしょうから、そのまま使い捨てにしてしまわれるのがオチじゃないでしょうか。

 セキュリティ面、そして電池交換など将来的な保守運用を考えた時、本当に「モノ」1つ1つが個別にインターネットにつながるよりも、ある程度のカタマリ単位でネットにつなげる方がベターな解なのかもしれません。そうすればエッジ装置は何千万とか億なんていうアンコントローラブルな数ではなくなり、セキュリティを乗せられる程度のコストを掛けられたり、将来も電池交換して使い続ける保守運用も無理なことではないと思えるのです。

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