2018年7月28日土曜日

AIに仕事を奪われた人間は同時に生きがいも奪われるのか

「人間不要社会」でヒトはどう生きるのが正しいのか

 今回のは、この山ちゃんウェブログでよく取り上げる、人工知能(AI)とシンギュラリティの話題です。シンギュラリティというのは、技術的特異点などと訳され、AIの持つ知能の総和が人類の知能の総和を越える時とか、テクノロジーが指数関数的に発展することで、AIやポストヒューマンが人類から文明の主役を奪う時などと定義されています。元記事は現代ビジネスのもので、多様煽りが入ってはいますが、自分は本当にこんな世界が来ると思って備えておいたほうがいいと考えています。

 文明の主役が人類からAIに変わった近未来。元記事ではフィクションですが、あるビジネスマンの日常を描いています。

 朝。目を覚ますのはAIスピーカーから流れて来る女性の優しい声。起床とともに、天気が良い時はIoT化(Internet of Things:あらゆるモノがインターネットに接続された世界)されたカーテンが自動的に開き、太陽の光を取り込んでくれます。天気が悪い時は、やはりIoT化された照明が自動的に点灯します。今日の天気やニュースなどを伝えてくれるAIスピーカーの声を遮り、カーシェアリングの車の手配を依頼します。AIスピーカーが車の到着を知らせてくれると、家の前に止まっている空調の整った車に乗り込みますが、運転そのものは自動運転にお任せです。

 オフィスに到着したら、AIが指示してくる仕事をこなしていくことになります。つまり、経営方針や日常の営業戦略などを立案するのはAIで、経営者や上司・マネージャーといった役割はすでに人間からAIに移りました。AIは我々の表情や体温までも正確に読み取って、リアルタイムで一挙手一投足をマネージメントしてくれます。もちろん書類の作成や経費の計算など事務的な仕事もほとんどAIがこなしてくれるので、人間がやるべき仕事は劇的に減り、「働き方改革」はテクノロジーの進化で自動的に実現されたのです。

 では、オフィスで人間に残された仕事とはどんなものでしょうか。それは、自動運転で運ばれてきた積み荷を社員別の宅配ボックスに入れたり、システムがエラーを起こしたときに修復したり、関係各所に謝罪の電話を入れたりする仕事です。むかし「AIアシスタント」なんて言われた時代がありましたが、AIと人間の立場が逆転した世界では、判断を下したり選択したりするのはAIの役割。アシスタント的な仕事は人間の役割となっています。

 近未来のビジネスマンの日常を少し垣間見ましたが、いかがでしょうか。仕事の中核はAIなので、人間には仕事に「やりがい」「生きがい」のようなものを見いだすのは難しそうです。今のような週5日勤務ではなく、週3日勤務くらいで十分に仕事は成り立っていくでしょう。人間の上司と違って、AIの上司はセクハラやパワハラをすることはないので、今よりストレスも減りそうです。余暇の時間もたっぷり取れそうですから、ジムに通って健康になったり趣味に時間を費やすのもいいでしょう。

 仕事から解放された、夢のような未来。でも、このストーリーに一抹の寂しさを感じるのは自分だけではないはずです。仕事に「やりがい」や「生きがい」を持てなくなった人間は、一体どうなってしまうのでしょうか。モーレツ会社員を続けてきた人が、定年退職後に急に趣味に生きようとしても難しいように、AIに仕事を奪われた人間は、長い人生を単に時間を潰して生き長らえるだけの存在になってしまうのでしょうか。

 そうはならない、と言われるのは哲学者の岡本裕一朗氏です。岡本氏は「フランスの思想家であるドゥルーズは『人間の欲望は多様な方向で常に変化していく』と語っています。欲望が時代とともに変化するように、人間にとっての幸福も時代や社会によって新しく規定されていくことになります」と。しかし、一生懸命仕事をして誰かの役に立ったり豊かさを手に入れたりすることに生きがいを見出す社会から、一体どんな社会になっていくのでしょうか。仕事をAIに奪われた人間は、一体何を生きがいにして生きるようになるのでしょう。

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