2018年10月17日水曜日

もしもブラックホールに落ちたらどうなるのか

The strange fate of a person falling into a black hole

 前回の「もし地球上から突然人類が消滅したら」に続いて、山ちゃんウェブログ「もしも」シリーズ第二弾(!?)は、もしあなたがブラックホールに落ちたら一体どうなってしまうのかという話題です。元記事はちょっと古いのですが、BBCに投稿された記事で、サイエンスライターAmanda Gefter氏によるものです。

 まず、ブラックホールって何でしょう。子供の頃から何となく知っているのは、物理的な観点から描かれたこんな絵(↓)と、高密度・大質量のためにものすごく大きな重力を持ち、その重力場からは光でさえ脱出できない、したがって真っ黒な天体だということではないでしょうか。光ですら閉じ込められてしまうのですから、人間がそこに吸い込まれたら、もはやなす術がありません。巨大重力のために押しつぶされてしまうかバラバラになってしまうか、あるいは燃え尽きてしまう。そんなことが想像されます。


 しかし、運悪く(!?)実際にあなたがブラックホールに落ちてしまったとしたら、もっとおかしなことが起きるのだそうです。現時点の科学が導き出している奇妙な事象。それは、燃えて灰になると同時に、無傷のままブラックホールの中に落ちていくというのです。???!!! 「燃え尽きると同時に無傷」とは、一体どういうことでしょう。

 実は一見異なる2つの現象が同時に起きるという意味は、「観察する主体が誰かによって観察される現象が異なる」ということなのです。

 まず、ブラックホールに吸い込まれていくあなたを、十分に離れた位置から観測する自分から観た場合、あなたは「事象の地平面(シュヴァルツシルト面)」(光がブラックホールから脱出できるかどうかの境界)に向かって加速しながら近づいていきます。あなたの身体は、伸びたり歪んだりして見え、さらに近づくと動きがどんどん遅くなります。ついに事象の地平面に到着したあなたは、グニャグニャに歪んだ状態でピタッと止まってしまいます。事象の地平面からは「ホーキング輻射」(あの車椅子の物理学者として知られるスティーヴン・ホーキング博士ですね!)と呼ばれる熱が出ますので、ゆっくりと燃え尽きて灰になっていくところを観測できるのです。


 一方、ブラックホールに吸い込まれている張本人は、一体どういう世界が見えるのでしょうか。あなたは、特に衝撃や揺れを感じることもなく、当然自分自身の体がグニャグニャに歪むわけではもなく、時間がゆっくりになったりホーキング輻射で燃えてしまったりすることもありません。ただ、ブラックホールに向けてひたすら自由落下しますが、不思議なことにあなた自身がブラックホールの巨大重力を感じることもないのだそうです。厳密には、小さいブラックホールの場合、事象の地平面にいる人間の頭と足にかかる重力が大きく変わるのでバラバラになってしまいますが、ブラックホールがある程度巨大(太陽の数百万倍くらい)であればその差は無視でき、ただひたすらブラックホールの中心にあると言われる「特異点」まで落下していくことになります。


 離れた位置にいる自分があなたを観察している状況は、量子力学にもとづいています。一方で、ブラックホールに落ちている張本人のあなたの状況は、一般相対性理論にもとづいています。この2つの有名な理論が異なる結果を導き出している矛盾は、「ブラックホール情報パラドックス」と呼ばれます。

 パラドックスを解決するアプローチは様々に取られていますが、元記事ではレナード・ジュースキント氏の説が紹介されています。それは、観察者が異なるのだから観察される結果が異なるのは当たり前で、一見矛盾するように見える2つの観察結果は実は矛盾しないという説明です。なんだか狐につままれたような話で、いまいち腹落ち感はありませんが、ブラックホールは我々が知る物理法則が全く役に立たない世界ですので、そんなこともあるのかなという感じでしょうか。

 観察者によって起きる事実が異なり、しかもそれは矛盾しないなんて、なんとも不思議な世界、ブラックホール。そのミステリーには知的好奇心がくすぐられますよね。

2018年10月14日日曜日

人類なくても地球は存在するが、地球なくして人類の存続がないことがわかる動画

What Would Happen If Humans Disappeared?

 今回は「もしも地球上から人類が突然いなくなったら」という思考実験。元記事はYoutubeで1千500万回以上も再生されているこちらの動画(↓)です。


 いまや人類は、地球の地形や環境を変えてしまうことができるほど、大きな力を持っています。新たな河川を作ったり人工島を作ったり、あるいは種を絶滅に追い込み生態系を崩してしまうことさえ可能です。そんな地球上最強の生物である人類が忽然と姿を消してしまうと、一体その後の地球はどうなってしまうのか。動画は、そんな架空の未来を描いています。

 人類が姿を消した数時間後、徐々にその影響が出始め、地球上から街の明かりが消え始めます。発電所の運転はほとんど自動化されていますので、例えば火力発電所は数時間は発電・送電が続けられます。原子力発電所はもう少し稼働を続けますが、電力消費者である人間がいなくなるわけですから、需要と供給のバランスを崩れてしまって、自動的に停止します。風力発電や太陽光発電・水力発電所はずっと稼働を続けますが、機械を保守する人間がいなくなるので、数ヶ月から数年後に壊れてしまうことになります。

 電力供給が途絶えると、流れ込む地下水を排出する仕組みが止まってしまうので、地下鉄は水没してしまいます。人間と一緒に暮らしていたペットや家畜などは、餌と水がもらえなくなるので、次々と命を落とすことになるでしょう。しかし、なかには動物の本能を呼び起こされ、野生動物として生きていくものもの出てくるでしょう。

 数年レベルの時間が経過すると、原子力発電所は冷却が行われなくなることで、原子炉がメルトダウンを起こし大爆発に至ります。放射性物質が撒き散らされ、多くの動植物が命を落とします。この頃になると、夜空には不思議な流れ星が見られるようになります。その正体は人工衛星で、コントロールを失った人工衛星が次々と地上に落下を始めるのです。

 数百年の時が経つと、人類が作り上げてきた様々な建築物が自然崩壊を始めます。都市の象徴である高層ビルは瓦解し、代わって自然が徐々に取り戻されていきます。


 スフィンクス像やアメリカのラッシュモア山のような自然を活かした建造物は、比較的長い間その姿をとどめられるだろうと考えられています。


 数百万年とか数千万年というレベルで時間が経つと、かつて人類が築き上げた文明の痕跡はほとんど失われます。自然分解の遅いプラスチックやガラスなどの痕跡は少し残りますが、1億年もたつと完全に失われるでしょう。それほど時間が経つと、地球上には次の文明の主となる種が現れるかもしれません。

 元記事の動画が締めくくられている言葉を、そのまま引用しておくことにします。「地球は人間を失ったとしても存在し続けることができます。しかし人間は地球を失うと生き続けることができません。地球を大切に」

2018年10月12日金曜日

トムとジェリーのウソホント

Temporal and Space-Use Changes by Rats in Response to Predation by Feral Cats in an Urban Ecosystem

 今回の話題は、うちの子も大好き「トムとジェリー」の世界で描かれる、猫がネズミの天敵というのはあまり正しくないケースがあるというお話です。元記事は、Fordham UniversityのMichael H. Parsons氏をはじめとする研究チームによるfrontiersの論文です。

 ノラ猫は、糞尿の被害や病気の媒介など、都市部の人間にとってはあまり好ましくない存在かもしれません。鳥や小動物を捕食するので、生態系のバランスを崩してしまう恐れも指摘されるようです。しかし、それにもかかわらず人間がこれまでノラ猫を野放しにしてきたのは、「害獣であるネズミを捕食してくれる」という一点ではないかと思います。トムとジェリーの世界では、猫がネズミを追いかける姿が面白おかしく描かれ、時に両者の間の友情も描かれますが、基本的には猫はネズミの天敵です。.....そのはずでした。

 しかし、研究チームが追跡用マイクロチップやカメラを使ってニューヨークで79日間にも及ぶ調査をしたところ、実際はそうでもないようなのです。撮影された306件の映像から、地域に5匹のノラ猫がいましたが、ネズミの後をつける姿が観察されたのは20回、捕まえようとしたのは3回で、見事に捕食成功したのは2回でした。研究チームは、依然として数多くのネズミがいることを確認しましたが、猫の脅威があったとしても移動ルートを変える程度で、目に見えてネズミの数が減ることはないと言われています。

 猫が人間に飼われだしたのは、古代エジプト時代だと言われています。ネズミが穀物を荒らすので、その駆除をする目的だったのだそうで、女神バステトとしても崇められました。中世ヨーロッパでは、ネズミは不吉な象徴というだけでなくペストなどの伝染病を運ぶので、こぞって猫が飼われました。

 しかし、本来は猫が得意とする獲物は無防備な獲物だけなので、古代エジプト時代や日本で見かけるような小型のネズミには効果的かも知れませんが、現代のニューヨーク都市部にいる大型ネズミに対しては、あまり役に立っていないということのようなのです。猫がネズミを追いかける「トムとジェリー」の世界は、あるケースでは正しいですが、都市部では正しくないケースも出てきているのかも知れません。

2018年10月11日木曜日

逆フィルターに見るイノベーションの定石

Free-standing liquid membranes as unusual particle separators

 今回は面白い技術が開発されたというので、ご紹介したいと思います。それは特別なフィルターなのですが、常識とは全く逆のフィルターなのです。元記事は、ペンシルベニア州立大学の研究者チームの論文記事で、Science Advancesに掲載されたものです。

 フィルターと言っても人によってイメージするものは異なりますが、篩(ふるい)とかろ紙・コーヒーフィルター、あるいは偏光フィルターやハイパスフィルターのようなものを思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし、ここで言っているフィルターは最も原始的なもの、つまり篩(ふるい)やろ紙のように、砂の中から石を取り除いたり液体の中から個体を取り除いたりする、あの「フィルター」です。

 ペンシルベニア州立大学の研究者チームが開発したフィルターのどの辺が「全く逆」なのかというと、普通は表面に開けられた小さな隙間の大きさを変えることで、小さなものを通して大きなものを通さないところ、全く逆、つまり大きなものを通して小さなものを通さないというところなのです。技術的な仕組みは元記事やこの動画(↓)を見ていただくといいのですが、簡単に言うと、液体の「表面張力」を利用することで、一定の大きさと運動エネルギーを持つ物体だけを通過させるという仕組みなのです。


 運動エネルギーは、質量を持つ物体が動いている時に持つエネルギーです。学生時代の物理の授業を思い出せば、ある高さから物体を落とした時、位置エネルギーが運動エネルギーに変わることで物体は速度を持つという関係にあった、あの運動エネルギーです。式で書けば、
ですので、重いものほどそして速いものほど運動エネルギーが大きく、この特別なフィルターの表面張力に打ち勝って通過できるようになるというわけです。面白いのは、物体が通過した後は、液体の高い表面張力によって穴が自動的に閉じられるのです。

 この全く逆の機能を持つフィルターの応用を考えると、面白いですよね。例えばトイレに使えば固形の排泄物は通すけど臭いは通さない防臭フィルターとか、人は出入りできるのにハエや蚊は通過できないゲートとか、外科手術のときに開口部を覆う応用とか。

 研究者らによれば、今回の発想の元は、細胞が細菌やウイルスなど一定の大きさを持つ物体だけを細胞内へと取り込む食作用だったのだそうです。あえて常識と全く逆の発想をする「逆張り」と、異なる分野をヒントに着装する「連想(アナロジー)」。いずれもイノベーションの定石ですが、これこそ言うは易しの典型ですね。

2018年10月7日日曜日

イグノーベル賞に見るナナメ上精神のすすめ

Here are your 2018 Ig Nobel Prize winners | Ars Technica

 今回の話題はイグノーベル賞です。今年は、昭和伊南総合病院の堀内朗氏が医学教育賞を受賞しました。堀内氏は、大腸内視鏡検査を座位で行うことが最も痛みが少ないことをご自身を実験台にして発見したのだそうです。


 イグノーベル賞は、1991年にアメリカの科学雑誌により創設されたもので、人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究に対して贈られます。単に笑わせるだけでなく「考えさせる」研究だというのが大切で、「考える人」の像が台座から転げ落ちているこの絵(↓)がその象徴です。「イグノーベル(Ig Nobel)」というのは、ノーベル賞の創設者Nobelに否定形の「Ig」を付け、「ignoble(恥ずべき)」という単語にも少し掛かっています。


 実は今回の堀内氏の受賞は、日本にとって12年連続でのイグノーベル賞受賞という栄誉です。イグノーベル賞は単なるおバカで笑える研究というだけでなく、過去には、たまごっち(1997年経済学賞)やバウリンガル(2002年平和賞)など、社会現象を引き起こした受賞もあります。

 受賞者には、60秒間のウケ狙いのスピーチをすることが求められ、堀内氏は実際に内視鏡を持ってスピーチを行ないました。しかし、スピーチの時間が長くなると、ミス・スウィーティー・プーという名の進行役の少女が登場し、「もうやめて、私は退屈なの」とスピーチをやめさせようとします。過去には、スウィーティー・プーに贈り物をして買収し、スピーチ時間を延ばした受賞者もいたのだそうで、科学を身近で面白いものにしたいという関係者の意志が強く感じられますね。

 今年の受賞を眺めてみると、堀内氏の研究はむしろ真面目な部類で、他にも以下のような受賞がありました。自分の方で少しタイトルは編集しましたが、どの賞も魅力的で面白要素が満載です。興味のある方、はぜひリンク先を参照してみて下さい。

・医学賞:ジェットコースターに乗れば腎臓結石を早く取り除ける
・人類学賞:逆にチンパンジーも人の真似をしているという証拠
・生物学賞:ワインの専門家は匂いだけでグラスの中の1匹のコバエを見つけられる
・化学賞:唾をつけて物の表面の汚れを落とすのは効果的
・文学賞:複雑な製品を使うときでも大抵の人は取説を読まない
・栄養学賞:人間の共食いで得られるカロリーは普通の肉料理に遠く及ばない
・平和賞:自動車の運転中に大声を出したり悪態をついたりする現象の研究
・生殖医学:就寝中のペニスの勃起検査を切手を使って行なう方法
・経済学賞:パワハラ上司にブードゥー人形を使った呪術で対抗するのは会社の業績向上に効果的

 よく考えてみると、この賞のあり方って、理系人間の「ナナメ上」な精神構造をよく表しているような気がします。バカバカしいことを大真面目に研究することに無上の喜びを感じたり、真面目な仕事の中に遊び心を加えたりする、そんな精神構造。思うに、12年も連続で日本人(あるいは日本の製品)がこの賞を受賞しているというのは、なんだか興味深いものがあります。日本の理系サイエンティスト・理系エンジニアの精神構造は、世界でもトップレベルにあると言えると思うのです。

 それにもかかわらず、GAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)のようなトップレベルのテクノロジー企業は日本から出てこない。自分は、これらの企業の創業者や経営トップは、いずれも理系の「ナナメ上」の精神構造の持ち主だと思っています。残念ながら、日本の大企業トップで彼らと同じような「ナナメ上」の精神を持っているのは、ソフトバンクの孫正義氏くらいのものでしょう。GAFAにいいように蹂躙されてしまわないためにも、文系トップから理系トップへ国をあげて舵を切らなければならないと思うのです。

2018年10月5日金曜日

格差広がる男性としての「勝ち組」と「負け組」

「生涯未婚男性」が増えている本当の理由

 今回は天野馨南子氏が日経ビジネスオンラインに書かれていた記事を元に、ひとくちに「少子化」といっても、日本の少子化の複雑な姿を取り上げてみようと思います。少子化の直接的な原因としては、未婚率の上昇と晩婚化が挙げられていますが、そもそもなぜ未婚の人が増え結婚が遅くなる傾向にあるのでしょうか。

 2017年の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の数の理論値)は、1.43でした。2005年に1.26だったことを底にして、緩やかではあっても上昇傾向にあったにも関わらず、伸び悩んでここにきて再び下落に転じた格好です(↓)。ちなみに下のグラフで合わせて表示している完結出生児数というのは、結婚後15~19年たった夫婦の平均の子供数です。これを見ると、夫婦2人が最終的には2人近くの子どもを持つことになっていることになります。1.43人と2人弱。数字上はあまり違っていないように見えますが、よく考えるとおかしくないですか。


 つまり、女性1人が産む子どもの数より、夫婦がもつ子どもの数が目に見えて多い。人口を維持するための基準となるのは、2人から2.07人の子どもが産まれることですから、完結出生児数を見ればもうちょっとでこの数字に届きそうです。それにもかかわらず、相変わらず少子化の問題は解決にはほど遠い。このカラクリはどういうことなのでしょうか。

 合計特殊出生率は、ざっくり言えば、子どもの出生数を女性全体(15~49歳)の数で割った値です。一方で完結出生児数は、子どもの数を夫婦の数で割った値ということですから、2つの数字の違いは、未婚女性の増大・晩婚化によるところが大きいということになるでしょう。現在、少子化対策として待機児童対策など子育て支援(安心して産んでもらうための制度作り)が重点的に行なわれていますが、そもそも適齢期の男女に結婚してもらうための制度にも力を入れる必要があると思います。

 ところが天野氏は、一部の自治体で実施しているような「婚活パーティー」などで結婚する人を増やせばいいという単純なものではないと指摘されています。未婚化・晩婚化の問題の背景にはもっと複雑な変化があるのだそうです。実は、再婚カップルが増加していて、いまや夫婦の4組に1組は再婚なのだそうです。もはや、離婚・再婚というのはテレビの中の話ではありません。

 そして、90年代後半くらいから増えていて今最も多い再婚パターンは、「男性再婚・女性初婚」というケース(9.7%)です。そして、そのうち44%は夫が7歳以上年上という年の差夫婦です。ちなみに、90年代後半という時期は、男性の未婚率が上がってきた時期とも重なります。つまり、何度か結婚・離婚を繰り返す男性が多くなり、そうなると逆に一度も結婚しない(できない)男性も増加してきたと言えるでしょう。複数の女性と結婚する男性が多くなる一方で、女性は生涯に1人の男性としか結婚しない人が多いならば、必然的に男性側が余ってしまうという理屈です。


男性が年上の「年の差婚」が増えると、男性が高齢のために女性が若くても子供を授からないケースが出てくるでしょう。生涯結婚しない男性が多くなれば、結婚市場に出回る少ない男性を多くの女性が奪い合う形になりますので、女性が出産適齢期を過ぎてしまう可能性もあります。

 では、そもそも再婚の男性が増える一方で、結婚しない(できない)男性も増えているのはなぜでしょう。当然思いつくことですが、格差社会があるのではないかと思います。例えば、年収200万円以下という層は90年代中盤から増え続け、経済的な面で結婚できない男性を増やしたものと推測されます(↓)。そうなると若い女性が余ってしまい、経済力のある男性がトロフィーワイフとして若い女性と再婚する傾向も増加したものといえるのではないかと。


 もちろん、これは一つの見方であって、これが全てではないと天野氏は強調されています。しかし少子化問題と切り離して、一人の男性として考えたとき、経済的に成功して若い女性と何度も結婚できる「勝ち組」と、貧困のために一度も結婚できない「負け組」という二極化が進んでいるのは何ともいたたまれません。昔は貧乏子だくさんなんて言われたものですが、現代は貧乏人は子孫を残すこともできないのでしょうか。

2018年10月3日水曜日

あなたは子どもにどのくらいゲームをさせますか

ゲームのやりすぎは子供の学力に「少しだけ」影響する―海外研究結果

 今回はYahooニュースの記事を元に、電子ゲームが学力に与える影響について考えてみましょう。意外なことではありますが、ゲームに多くの時間を費やすことが学力低下へ与える影響は小さいというのが、最近の認識なんだそうです。

 自分が子供の頃は、ちょうどファミコンが世に出たばかりで、ファミコンを持っている子の家に集まって、みんなでゲームをするというのが定番でした。大人からは、ゲームばかりしていたらバカになるとか、健康のためにもせめて外で遊べとか言われたものでした。ゲームをしていいのは1日に2時間だけなんて、制限が課せられている子も多かったと思います。

 しかし、どうやらゲームのやりすぎで学力に深刻な影響を与えるという、当時の大人の考え方は正しくなかったようなのです。元記事で取り上げられている、オーストリアの心理学者Timo Gnambs教授は、3,554人のドイツ人をサンブルとして、ゲームをする時間と読解・数学・推論能力の成績の関連を調査し、影響はわずかだったと結論づけています。なんと1日に8時間もゲームをプレイする人でさえ、影響は限定的だったのだと。元記事がニュース記事だということもあって、具体的な数字が出ていませんが、少しググったレベルでは、ゲームをする時間と学力の相関は小さいとする研究結果が多いように思えます。

 ただ、この研究結果でもって、いくらゲームしてもいいとは言えなそうです。というのも、Gnambs教授の調査は読解・数学・推論能力という、ゲームの中でも比較的培われやすい「考える能力」を対象に調査しています。一方で日本の教育は、記憶や詰め込みが相変わらず多くを占めています。ゲームの中でも「覚える能力」は培われるでしょうが、覚える対象がアイテムや呪文など、いわゆる学校で覚えさせられる対象とは範囲が違っています。記憶や詰め込みは、それに掛けた時間から大きな影響を受けるでしょうから、ゲームばかりして勉強時間が削られるなら、やはりそれなりの影響があると思うのです。実際に日本の文科省は、テレビゲームをする時間の短さと学力テストの平均正答率との間には相関関係があると述べています。

 自分の子どもは、上は小学3年生の男の子なのですが、やはりゲーム好きです。最近ではスプラトゥーン2とかにゃんこ大戦争なんかにハマっています。親としては、最初のうちはゲームの楽しさに魅了されてハマったとしても、ある程度ゲームをやり慣れたら、プレイはほどほどにして、むしろゲームを「つくる」ことに勤しんでみてはどうかと思います。そう思っていたら、小学生プログラミングコンテストで、5年生の子が完全オリジナルのスマホゲームで初代優勝を勝ち取ったというニュースが流れていました。

 ゲームに限らず、消費するのも楽しいですが、創造するのはもっと楽しい。もちろん作り手側は大変で乗り越えないといけない壁も多いですが、ゲームをきっかけに「つくる」ことの楽しさを知れば、記憶や詰め込みの学力ではないもっと大きなものを手に入れられるかも知れません。

2018年10月1日月曜日

五輪ボランティアに応募してくれるなという応募フォーム

むずかしすぎる!五輪大会ボランティア応募フォーム

 この山ちゃんウェブログで、東京オリンピック・パラリンピックのボランティアの募集が国家総動員体制のようだという記事を書いたことがありました。今回は、そもそもボランティアに来て欲しいんだろうかという話題です。元記事は、Yahooニュースの神田敏晶氏の記事です。

 募集している大会ボランティアは8万人(組織委員会)、都市ボランティアは3万人(東京都)と言われていて、先の9月26日から正式に募集が始まりました。
(1)大会ボランティアの応募→こちら
(2)都市ボランティアの応募→こちら
しかし、このボランティア応募フォームが本当に募集する気があるのかと思うほど酷いというのです。

 いざ、応募をしようとすると英語のページが表示されます。ボランティアに英語は必須だと言いたいのでしょうか。かろうじてフォームにたどり着いて、隅の方にあるボタンを見つけた人だけが日本語に切り替えることができます。Facebookアカウントでログインできますが、名前などの基本情報が引き継がれるわけではないので、何のためのログインなのか不明です。

 アスタリスク(*)がつけられた項目は必須入力ですが、例えばパートナー企業に発行される特別コードも必須になっています。実は、コードを持っていない人は2020と入力しなければなりません。開催年の2020年に掛けているのかも知れませんが、なぜ空欄じゃダメなのでしょう。TOEICの点数も必須です。こちらは受けたことがない人の入力方法がないので、TOEICすら受けたことがない雑魚は来るなというメッセージかも知れません。

 当てはまる選択肢がない場合は、プルダウンを一番下までスクロールして「なし」を選ぶ必要があります。例えば、障害者スポーツをやったことがない人は、経験のあるパラリンピックの競技を選ぶ欄で、プルダウンを延々と最下までスクロールさせる必要があります。生年月日の入力は、1年ずつクリックしてカレンダーをめくらないといけないので、50歳の人は50回クリックしないといけません。横着してYYYYMMDD方式で入力しようとする人は、このように(↓)選べなくなってしまいます。

 何とか全項目を入力し終えても、大抵は入力の不備が残っていて、そんな場合はこんな風にエラーが表示されますので、全て [×] ボタンで閉じていかないと次の操作をすることはできません。

 このボランティア応募フォームの仕様を見ると、個人的には、これはもしかして強制的ボランティアとして正当な報酬なしで作らされたものではないかと疑いたくなってしまいます。入力フォームの端々から、絶対ここに来るな、来たら不幸になるだけだぞという、先人のダイイングメッセージのような雰囲気を感じてしまいます。もしそうではなく、うっかり不親切なフォームになってしまっただけだとしたら、残念ながら、これを作った人はITエンジニアを名乗る資格はないでしょう。もし会社として請け負った仕事なのだとしたら、誰もチェックしていないということですから、そもそもITではない会社なのでしょうし、発注者側もザルだということのようです。このフォームで募集した結果、8万人ものボランティアが集まるのかどうか、なりゆきをウォッチしたいものですね。