2018年10月25日木曜日

これだからAIスピーカーは使えない。常時アクセスの本当の怖さとは

「アレクサ、盗聴はやめて!」使って分かったAIスピーカーの恐怖

 今回はAIスピーカーの話題ですが、元記事はMITテクノロジーレビューのRachel Metz氏のものです。当初から言われていましたが、AIスピーカーは「Alexa」とか「OK Google」「Hey, Siri」という、特殊な呼びかけをきっかけにして聞き取った音声コマンドを実行するだけの単純なものではありません。そして自分もAIスピーカー導入に踏み切れないのは、その辺なのです。

 Rachel Metz氏は、自宅に導入しているAmazon Echo Dotの録音していた音声リストをチェックした瞬間、思わず首の後ろの毛が逆立ったそうです。Alexaは数カ月の間、日に数回くらいのペースで、「Alexa」と呼びかけて依頼した音声コマンド以外の日常会話を録音していたのだそうです。具体的には、Metz氏が仕事のことでこぼした愚痴や子供を叱る声、夫との夫婦の会話などだそうです。

 Metz氏の元記事のすぐ前くらいですが、オレゴン州ポートランドで、夫婦のプライベートな会話がAlexaが勘違いによって知人に送られてしまったというニュースがありました。この珍事件は、実際は夫婦は「Alexa」ではなくソレっぽい言葉で誤って起動してしまい、AIスピーカーの起動に気づかないまま続けた会話が、たまたまコマンドとして成立してしまったために起きたもので、悪意のないものと言えます。しかし、意図しない日常会話が常にAIスピーカーに録音されているとなると、Metz氏の日常会話が他の人にまだ転送されてないのは、むしろ単なる幸運だと言えるかも知れません。

 よく考えると、我々は「常時アクセス」の本当の意味を理解できていない、あるいは甘く見ているのかも知れません。「Alexa」なんてキーワードですぐアクセス可能なデバイスというのは、常にこちらの会話を録音して「Alexa」というキーワードを見つけているに過ぎません。よく考えれば、人間だって同じですよね。名前を呼ばれた時にすぐに返事して要求を実行しようと思ったら、相手の会話に常に聞き耳を立てていなければならないわけです。

 AIスピーカーを導入したが最後、私たちのプライベートな会話の1つ1つは、もはやその場限りで消えていくものではなくなります。常時アクセスとは、つまりはそういうことです。例えるなら、炎上したブログ記事を急いで削除したとしても、誰かがコピーを取っていたりして、簡単には無かったことにできません。Twitter上の呟きやInstagramの投稿もそうでしょう。インターネットの常時アクセス性とは、自分が発信したことがその場限りで消えてなくならないということです。

 ただ、ブログ記事を書いたりTwitterで呟いたりInstagramに投稿したりする時、人は、それは世界に向けて発信する行為で、一度発信してしまうと簡単には無かったことにできないという自覚と覚悟を持っているでしょう(たまにその自覚がなく、犯罪行為を発信してしまう人もいますが...)。それに対し、AIスピーカーの前で夫婦の会話をしたり、仕事の愚痴をこぼしたりするのは、その場限りで消えてなくなってくれるものだと思っているでしょう。この会話がAIスピーカーに録音され、次のRecommendationのためにAmazonに送信されるかも。誰かに間違って送信されるかも。そんな自覚と覚悟のもとで自宅で会話している人は、気が休まる暇がなく、いずれ病気になってしまうのではないでしょうか。(試しに、自分で自宅に音声レコーダーを仕掛けてみてください。間違いなく会話がぎこちなくなると思います)

 文字にして書くことは労力を要しますが、逆にその場限りで消えてなくならないと認識します。それに対し、声に出すということは気軽で労力が要らない分、その場で消えてしまうと考えやすいでしょう。声で操作できるAIスピーカーは確かに便利ではありますが、導入が進まないのも、この辺を本能的に理解している人が多いのかもしれません。

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