2018年10月12日金曜日

トムとジェリーのウソホント

Temporal and Space-Use Changes by Rats in Response to Predation by Feral Cats in an Urban Ecosystem

 今回の話題は、うちの子も大好き「トムとジェリー」の世界で描かれる、猫がネズミの天敵というのはあまり正しくないケースがあるというお話です。元記事は、Fordham UniversityのMichael H. Parsons氏をはじめとする研究チームによるfrontiersの論文です。

 ノラ猫は、糞尿の被害や病気の媒介など、都市部の人間にとってはあまり好ましくない存在かもしれません。鳥や小動物を捕食するので、生態系のバランスを崩してしまう恐れも指摘されるようです。しかし、それにもかかわらず人間がこれまでノラ猫を野放しにしてきたのは、「害獣であるネズミを捕食してくれる」という一点ではないかと思います。トムとジェリーの世界では、猫がネズミを追いかける姿が面白おかしく描かれ、時に両者の間の友情も描かれますが、基本的には猫はネズミの天敵です。.....そのはずでした。

 しかし、研究チームが追跡用マイクロチップやカメラを使ってニューヨークで79日間にも及ぶ調査をしたところ、実際はそうでもないようなのです。撮影された306件の映像から、地域に5匹のノラ猫がいましたが、ネズミの後をつける姿が観察されたのは20回、捕まえようとしたのは3回で、見事に捕食成功したのは2回でした。研究チームは、依然として数多くのネズミがいることを確認しましたが、猫の脅威があったとしても移動ルートを変える程度で、目に見えてネズミの数が減ることはないと言われています。

 猫が人間に飼われだしたのは、古代エジプト時代だと言われています。ネズミが穀物を荒らすので、その駆除をする目的だったのだそうで、女神バステトとしても崇められました。中世ヨーロッパでは、ネズミは不吉な象徴というだけでなくペストなどの伝染病を運ぶので、こぞって猫が飼われました。

 しかし、本来は猫が得意とする獲物は無防備な獲物だけなので、古代エジプト時代や日本で見かけるような小型のネズミには効果的かも知れませんが、現代のニューヨーク都市部にいる大型ネズミに対しては、あまり役に立っていないということのようなのです。猫がネズミを追いかける「トムとジェリー」の世界は、あるケースでは正しいですが、都市部では正しくないケースも出てきているのかも知れません。

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