2018年10月17日水曜日

もしもブラックホールに落ちたらどうなるのか

The strange fate of a person falling into a black hole

 前回の「もし地球上から突然人類が消滅したら」に続いて、山ちゃんウェブログ「もしも」シリーズ第二弾(!?)は、もしあなたがブラックホールに落ちたら一体どうなってしまうのかという話題です。元記事はちょっと古いのですが、BBCに投稿された記事で、サイエンスライターAmanda Gefter氏によるものです。

 まず、ブラックホールって何でしょう。子供の頃から何となく知っているのは、物理的な観点から描かれたこんな絵(↓)と、高密度・大質量のためにものすごく大きな重力を持ち、その重力場からは光でさえ脱出できない、したがって真っ黒な天体だということではないでしょうか。光ですら閉じ込められてしまうのですから、人間がそこに吸い込まれたら、もはやなす術がありません。巨大重力のために押しつぶされてしまうかバラバラになってしまうか、あるいは燃え尽きてしまう。そんなことが想像されます。


 しかし、運悪く(!?)実際にあなたがブラックホールに落ちてしまったとしたら、もっとおかしなことが起きるのだそうです。現時点の科学が導き出している奇妙な事象。それは、燃えて灰になると同時に、無傷のままブラックホールの中に落ちていくというのです。???!!! 「燃え尽きると同時に無傷」とは、一体どういうことでしょう。

 実は一見異なる2つの現象が同時に起きるという意味は、「観察する主体が誰かによって観察される現象が異なる」ということなのです。

 まず、ブラックホールに吸い込まれていくあなたを、十分に離れた位置から観測する自分から観た場合、あなたは「事象の地平面(シュヴァルツシルト面)」(光がブラックホールから脱出できるかどうかの境界)に向かって加速しながら近づいていきます。あなたの身体は、伸びたり歪んだりして見え、さらに近づくと動きがどんどん遅くなります。ついに事象の地平面に到着したあなたは、グニャグニャに歪んだ状態でピタッと止まってしまいます。事象の地平面からは「ホーキング輻射」(あの車椅子の物理学者として知られるスティーヴン・ホーキング博士ですね!)と呼ばれる熱が出ますので、ゆっくりと燃え尽きて灰になっていくところを観測できるのです。


 一方、ブラックホールに吸い込まれている張本人は、一体どういう世界が見えるのでしょうか。あなたは、特に衝撃や揺れを感じることもなく、当然自分自身の体がグニャグニャに歪むわけではもなく、時間がゆっくりになったりホーキング輻射で燃えてしまったりすることもありません。ただ、ブラックホールに向けてひたすら自由落下しますが、不思議なことにあなた自身がブラックホールの巨大重力を感じることもないのだそうです。厳密には、小さいブラックホールの場合、事象の地平面にいる人間の頭と足にかかる重力が大きく変わるのでバラバラになってしまいますが、ブラックホールがある程度巨大(太陽の数百万倍くらい)であればその差は無視でき、ただひたすらブラックホールの中心にあると言われる「特異点」まで落下していくことになります。


 離れた位置にいる自分があなたを観察している状況は、量子力学にもとづいています。一方で、ブラックホールに落ちている張本人のあなたの状況は、一般相対性理論にもとづいています。この2つの有名な理論が異なる結果を導き出している矛盾は、「ブラックホール情報パラドックス」と呼ばれます。

 パラドックスを解決するアプローチは様々に取られていますが、元記事ではレナード・ジュースキント氏の説が紹介されています。それは、観察者が異なるのだから観察される結果が異なるのは当たり前で、一見矛盾するように見える2つの観察結果は実は矛盾しないという説明です。なんだか狐につままれたような話で、いまいち腹落ち感はありませんが、ブラックホールは我々が知る物理法則が全く役に立たない世界ですので、そんなこともあるのかなという感じでしょうか。

 観察者によって起きる事実が異なり、しかもそれは矛盾しないなんて、なんとも不思議な世界、ブラックホール。そのミステリーには知的好奇心がくすぐられますよね。

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