2018年10月5日金曜日

格差広がる男性としての「勝ち組」と「負け組」

「生涯未婚男性」が増えている本当の理由

 今回は天野馨南子氏が日経ビジネスオンラインに書かれていた記事を元に、ひとくちに「少子化」といっても、日本の少子化の複雑な姿を取り上げてみようと思います。少子化の直接的な原因としては、未婚率の上昇と晩婚化が挙げられていますが、そもそもなぜ未婚の人が増え結婚が遅くなる傾向にあるのでしょうか。

 2017年の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の数の理論値)は、1.43でした。2005年に1.26だったことを底にして、緩やかではあっても上昇傾向にあったにも関わらず、伸び悩んでここにきて再び下落に転じた格好です(↓)。ちなみに下のグラフで合わせて表示している完結出生児数というのは、結婚後15~19年たった夫婦の平均の子供数です。これを見ると、夫婦2人が最終的には2人近くの子どもを持つことになっていることになります。1.43人と2人弱。数字上はあまり違っていないように見えますが、よく考えるとおかしくないですか。


 つまり、女性1人が産む子どもの数より、夫婦がもつ子どもの数が目に見えて多い。人口を維持するための基準となるのは、2人から2.07人の子どもが産まれることですから、完結出生児数を見ればもうちょっとでこの数字に届きそうです。それにもかかわらず、相変わらず少子化の問題は解決にはほど遠い。このカラクリはどういうことなのでしょうか。

 合計特殊出生率は、ざっくり言えば、子どもの出生数を女性全体(15~49歳)の数で割った値です。一方で完結出生児数は、子どもの数を夫婦の数で割った値ということですから、2つの数字の違いは、未婚女性の増大・晩婚化によるところが大きいということになるでしょう。現在、少子化対策として待機児童対策など子育て支援(安心して産んでもらうための制度作り)が重点的に行なわれていますが、そもそも適齢期の男女に結婚してもらうための制度にも力を入れる必要があると思います。

 ところが天野氏は、一部の自治体で実施しているような「婚活パーティー」などで結婚する人を増やせばいいという単純なものではないと指摘されています。未婚化・晩婚化の問題の背景にはもっと複雑な変化があるのだそうです。実は、再婚カップルが増加していて、いまや夫婦の4組に1組は再婚なのだそうです。もはや、離婚・再婚というのはテレビの中の話ではありません。

 そして、90年代後半くらいから増えていて今最も多い再婚パターンは、「男性再婚・女性初婚」というケース(9.7%)です。そして、そのうち44%は夫が7歳以上年上という年の差夫婦です。ちなみに、90年代後半という時期は、男性の未婚率が上がってきた時期とも重なります。つまり、何度か結婚・離婚を繰り返す男性が多くなり、そうなると逆に一度も結婚しない(できない)男性も増加してきたと言えるでしょう。複数の女性と結婚する男性が多くなる一方で、女性は生涯に1人の男性としか結婚しない人が多いならば、必然的に男性側が余ってしまうという理屈です。


男性が年上の「年の差婚」が増えると、男性が高齢のために女性が若くても子供を授からないケースが出てくるでしょう。生涯結婚しない男性が多くなれば、結婚市場に出回る少ない男性を多くの女性が奪い合う形になりますので、女性が出産適齢期を過ぎてしまう可能性もあります。

 では、そもそも再婚の男性が増える一方で、結婚しない(できない)男性も増えているのはなぜでしょう。当然思いつくことですが、格差社会があるのではないかと思います。例えば、年収200万円以下という層は90年代中盤から増え続け、経済的な面で結婚できない男性を増やしたものと推測されます(↓)。そうなると若い女性が余ってしまい、経済力のある男性がトロフィーワイフとして若い女性と再婚する傾向も増加したものといえるのではないかと。


 もちろん、これは一つの見方であって、これが全てではないと天野氏は強調されています。しかし少子化問題と切り離して、一人の男性として考えたとき、経済的に成功して若い女性と何度も結婚できる「勝ち組」と、貧困のために一度も結婚できない「負け組」という二極化が進んでいるのは何ともいたたまれません。昔は貧乏子だくさんなんて言われたものですが、現代は貧乏人は子孫を残すこともできないのでしょうか。

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